「いまさら聞けない「プログラミング学習」ってなあに?」
〜小学校で始まった「プログラミング学習」の内容とねらい〜
ー 理事見聞録#013 理事 安威誠 ー
“あけましておめでとうございます”のご挨拶でお祝いしたいところではあるが、私事ながら喪中と同時に、新型コロナ感染症第二波が年末以来勢いを増し、非常事態宣言発出の不穏な最中につき、お祝い気分控えめに見聞録の書初めといたします。
さて、今回は令和時代の子どもたちの教育について触れてみたいと思います。教育界は、2020年4月より、新しい学習指導要領がついに始まりました。今回の改定は幕末以来と言われるくらい大きな改定が加えられています。今回のコラムでは、そのいくつもの特徴のひとつ、やや唐突感のある「プログラミング学習」について触れてみましょう。
よくある疑問が、「プログラミングなんか教えても時代の変化ですぐに古くなって使いものにならなくなるやんけ」です。これは大きな誤解で、C言語、Java、HTMLなどのプログラム言語の習得のこととは違うのです。プログラム言語を学ぶのではなく、プログラミング的な考え方を学ぶのが狙いです。
小学校におけるプログラミング教育のねらいは、「小学校学習指導要領解説 総則編」においても述べていますが、非常に大まかに言えば、①「プロ グラミング的思考」を育むこと、②プログラムの働きやよさ、情報社会がコ ンピュータ等の情報技術によって支えられていることなどに気付くことができるようにするとともに、コンピュータ等を上手に活用して身近な問題を解決したり、よりよい社会を築いたりしようとする態度を育むこと、③各教科 等の内容を指導する中で実施する場合には、各教科等での学びをより確実なものとすることの三つと言うことができます。 (文科省 小学校プログラミング教育の手引(第二版より)
ではなぜこの「プログラミング学習」を突然感のある形で取り入れたのでしょうか。それは日本のおかれた危機感が起因していると思います。さかのぼること約30年。日本は、ジャパンアズ1No.1と言われたぐらい急成長し、アメリカをもしのぐ勢いがありました。
ところが、その後、米国だけでなく韓国や中国などの新興国にも脅かされる失われた20年とか30年とか言われるくらい停滞しているのが現状です。
※平成元年での世界時価総額ランキング。 上位50社のうち日本企業は32社、平成30年ではそれが1社と。

これを挽回して、日本の経済を再び活性化させるには、日本の教育を根本的に変えていかなければならない、ということが決断の理由の一つでしょう。
国としての考えだけでなく、個人の将来の職業としてもいかに成長分野への仕事に対応できるようになっておくかが差し迫った課題です。
今の小学生が大学を出る頃には、今ある職業の半分はなくなっているという予測があるからでもあります。
※日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に ~ 601 種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算 ~野村総研
https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2015/151202_1.pdf
従来型の教育を受けたまま就職すると将来ががとても不安になります。職種自体がなくなってしまう可能性もあるからです。逆に、新しい職種もたくさん創出されるので、新しい職に対応できる教育を受けておけば、仕事のチャンスは増えるわけです。その新しい職種の大半が、この「プログラミング学習」をベースにして学んでおかなければついていけないということなのです。基本的な考え方を「プログラミング学習」で教えておこうということなのです。今年から中学校でも、来年は高校でも始まります。
まとめると、
「プログラミング学習」とは、、、、
1.すべての教科にプログラミング的な考え方を取り入れて論理的思考を育む。
2.デジタル機器への理解や世の中のIT/AIの仕組みを理解、生きる力を育む
3.ひいては、プログラム開発可能な知識とスキルを身につけ日本の進化に寄与できる人材を育成する
これは、昭和世代の我々からすると全く新しい考え方、分野です。中には苦手だと思う方も大勢いるかもしれません。おじさんたち、おばさんたち、長生きするおじいさんやおばあさんも、楽しく生きていくためには、「ついていけない」なんて言わないで、今一度学び直してはいかがでしょうか、、、。
※私がやっている「プログラミング学習」のための教室の一コマをお見せします。

▲子ども達に教えているようで、実は一緒に学んでいます

▲埼玉川口での「コミープログラミング教室」より
安威さん
お元気で何よりです。
子供たちにとても良い教育を行っていますね。
感心しました。 高野文夫