『高野文夫の人間力大学』

JPAホームページの理事長の常設コーナー(2024年6月号)

月の初頭に、本協会理事長の高野文夫が、[世界のコミュニケーションの最新ノウハウ]を掲載させて頂きます。

さて、その第十回目のテーマですが、5月に2冊の本を出版しました。

本のテーマは『(続)忖度力』です。

副題は、相手の心情を読み取る愛及び共感力!です。

先月の続きになりますが、今月もこの本の要旨をについてご紹介致します。

「忖度」は「おべっか」とは異なります。

「おべっか」とは、相手に対して偽りやお世辞を言って取り入ることを指します。

これから一番人間に求められるのは共感力

 今世界はものすごいスピードで、仕事をする主役の交代現象が進んでいます。

 生産という仕事は、人件費が安い発展途上国に主役が変わり、肉体労働は故障が無い限り永遠に反復動作を繰り返せるロボットに代わり、

 知的労働は瞬時にデーターを処理できるコンピューターに主役を奪われかけています。

 一方、共感力はけしてコンピューターには代役ができないスキルです。

 ですから、共感こそ、もっともっと磨かれてゆくべき人間ならではの必須の能力だと思います。

 今や、合理主義や理性重視の考えややり方が、いき詰まりをみせています。

 感性に劣り、その結果、共感する能力に劣る人達がリーダーになりかつ、多くの為政者になっている今「共感なき知性」が国家崩壊の危機を招いています。

 一般の多くの民衆は、「理屈じゃない、共感や心が欲しい!」と叫んでいるような気がします。

 そして、芝居や芸術のように、人と人とが感動を共有する、人間が主役になれるジャンルがますます評価される時代が来たと思います。

社会を良くし世の為になる共感力

 「共感力」は、人に「共感できる力」であり、人に「共感される力」でもあります。

  共感力を通して感動が共有された瞬間に、そこには「共に生きている」「一緒に行動できる」縁への喜びと感謝の念が生まれるのです。

 「共感力」と言う重要な「人間力」を、すべての人が意識したり、学校で教わるわけではありません。

 それなのに今の社会では、「共感力」が益々重要になってきていると思います。

  デジタルツールが進化してゆく一方で、「人と人」がお互いを理解する能力が退化しているように思います。

  学校、職場、趣味の場、自治会、ご近所と、色々なコミュニティーが存在し、居場所ばかりが増加しているのに、

  その居場所の中でのコミュニケーション力が不足している為に、心を痛める方も増加傾向です。

  インターネット最盛期に入った今、個人主義が蔓延し、孤独な人間像が浮き彫りになってきました。

  これからのIT技術の進捗やロボティック社会になるにつれて、個人は益々孤独な存在になってゆくでしょう。

  昨今、他人の痛みや気持ちに共感する力が弱まったのか、平和な国と言われてきた日本でも凶悪な事件が多発しています。

  ビジネスにおいては、顧客に共感されないマネーゲームや企業買収のようなパワーゲームが目立つようになりました。

  言葉のやり取りの中で、あたかも人の足を踏んでいても、踏んでいるかどうかが分からなくなっているのです。感性の鈍さです。

  この美しい国日本で、「共感力」がもっと大切にされ、人と人とがともに感動する時間が今より少しでも増えたなら、

  人と人、国と国とが、エゴの枠を超えて心の絆で繋がっていることを思い出せるのではないかと思います。

  私は感性を基本にした共感の力が、これから益々重要視され、それを涵養してゆくことが人類の永遠のテーマになってゆくと思います。

  今や生きてゆく上で、末期的症状を呈いている世界だからこそ、益々「共感」の重要性が鮮明に意識される時代になったと思います。

  これからITやロボティック社会になればなるほど、感性や共感力を原理にした生き方や文明化がどんどん形になって表れてくると予感します。

  この数千年間、理性を全面に押し出した文明が続いてきた訳ですが、ここにきて、まさに理性の行き詰まり感があります。

  理性の時代が終焉を迎え、今度は理性に代わる新しい精神原理として「感性や共感力」が脚光を浴びてきたと実感します。

  本書は経験や職種、性別や年齢に関係なく、色々な立場の人に読んでもらいたいと思います。

  この本を頼りに「共感力」を磨くことによって、一人でも多くの人が本来の輝きを取り戻すことに、少しでも貢献できたら著者の最大の喜びです。

  この本を基盤にされて、自分なりの「共感力を高めるコツ」をゲットして頂きたいのです。

この続きは2024年7月1日号になります。2024年7月1日にまたお会いしましょう。

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