『高野文夫の人間力大学』2024年12月号

JPAホームページの理事長の常設コーナー(2024年12月1日号)

 

ITAI時代に入りましたが、この時代のコミュニケーションに最も必要な能力は、共感できる感性力だと思います。

その為の手法として以下の3点に注意を促したい。

。 問題を責め、人は誉める事


。「何を」の前に「なぜ」を伝える


。 誉めた後butを使わずアドバイスをする

それではそれぞれを説明してゆきましょう。

1、問題を責め、人を誉める事

 一般に、交渉や衝突回避の方法としてあげられるのは、「人と問題を切り離す」ことです。感情を混入させ個人攻撃に走ったら、問題はこじれるばかりです。

どのような人も、どのような高尚な人でも、基本的には自己防衛を第一義に考えているものです。

 できるだけ人柄や人格を否定することなく、問題点を絞り込むようにして、質問をして相手に考えさせるように持ってゆくのが良い。

人は自分で考え始めたら、解決策を自分で発見できる可能性が高まるのです。そして問題が絞り込まれていれば、解決策を考えつく確率も高くなるのです。

 「鶏を殺すな」(ケビン・D・ワン著/幻冬舎)と言う本に、ホンダ技研工業の経営姿勢としてこう述べられています。

 「失敗を奨励せよ。経験のないことをやって誤るのは本当の失敗ではない、ただし、失敗したら原因を追究し、正しく反省せよ、正しい失敗・正しい反省をした人を攻撃して潰すな」

 要するに、失敗した鶏に追い打ちをかけて殺すようなことをせずに、何が間違いだったのかを反省して、その改善策を共に考える様なやり方が成長する組織だというのです。

 その意味で、挑戦して失敗した人は勇者です。誉めるに値します。失敗の原因を考えずに暗闇に葬るのは、本人にも周りの者にもなんのプラスも生みません。

 原因になった人を攻めずに、互いに問題点を指摘し合い、皆で改善点を考え出すことです。人を誉めて、問題点を攻めるのです。

2、「何を」の前に「なぜ」を伝える

 何か行動を起こさせる際に指示を出すのに一つの原則があります。

指示の四ステップと覚えておきましょう。

    • Why(何のためにするのか)

     ↓

    • What(何をするのか)

     ↓

    • How(どのようにするのか)

     ↓

    • Result(その結果どうなるのか) 

 何か新しいことを指示する為には最初に目的を伝えます。

目的が分かって、行動意欲がわいてきた辺りで具体的な方法を伝えます。

次に、ワークの進め方を説明します。

 ステップ3まで押さえたら、ワークに入っていいのですが、さらに効果を狙ってステップ4、成果のイメージを伝えることが有効です。その成果に向かって全員が心を一にすることが重要なのです。

3、誉めた後butを使わずにアドバイスをする

 さて、どんな対象でも、どんなパフォーマンスをしてくれても何かしら学ぶものがあるはずです。

そこで私がお勧めしているのは、相手から何かしらのアウトプット(成果物)があったなら、そのフィードバックは、「二つ誉めてからアドバイスせよ」というものです。

 「頑張ってくれたけど・・」とか「○○は良いのだけれど・・」のように、一旦は誉めているような表現でも、直ぐに「・・ですが」とか「・・でも」と反論の接続詞を繋げてしまうのはよくありません。

 一応誉め言葉でスタートしているのは良いのですが、すぐに「でも」「しかし」「ですが」と続けると、最初の誉め言葉が、批判的なことを言う為の枕詞としか聞こえなくなるのです。

いわば騙されたとか、「どうせね」というようなやるせない気になるのです。要は、誉めてらった様な気がしないのです。

誉める言葉は独立させて、「○○はとてもいいです」と言い切り、「でも」とか「しかし」という接続詞を入れずに、「改善のポイントを上げるなら・・」と言ってアドバイスをするのです。

       効果的なアドバイスのコツは、誉めた後「but」で受けない事です。「が・でも・しかし」を使わない様にしましょう

 

次回は2024年1月1日号でお会いしましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です