プレゼン最前線2020年8月号

2020年8月15日

NPO 日本プレゼンテーション協会理事長  高野文夫

リモートワーク時代のファシリテーション

1、ファシリテーターとサブ・ファシリテーターをてる

対⾯の会議同様、ZOOM等の遠隔会議ではファシリテーターの存在は必須です。⽬的の設定、アジェンダの作成等、対⾯の会議でも求められることを⾏うのはもちろんの事、会議中には、遠隔会議ならではの様々な配慮をしながらの議事進⾏や、対⾯の会議とはまた異なる様々なスキルの発揮も要求される。

20名以上の比較的大きなZOO会議では、サブのファシリテーターを置くことも推奨したい。対面の会議でも、サブ・ファシリテーターを置く場合があるのと同じです。サブ・ファシリテーターは、チャットのコメントを拾ったり、発⾔のキーワードをチャットに記録していくなどの役割が求められます。議事のスムーズな進⾏に⽋かせない存在なのです。

2、アジェンダを事前準備する

アジェンダを事前にはっきりさせておく。アジェンダが必要なのは、ZOOM等の遠隔会議に限るわけではないが、対面の会議に比べて、事前準備がより⼤切になります。

アジェンダに書くべきものは、⽬的やゴール、三役や時間配分及びグランドルールで対面会議と何ら変わりはありません。ファシリテーターがアジェンダを作る際には、何が課題で、この会議で何を決定すればよいかということを強く意識する必要があります。

このあたりがあやふやだと、当然のことながら会議はほぼうまくいかない。対面会議であれば、臨機応変にその場のアドリブで乗り切れる可能性があっても、ZOOM会議などではそうはいかない。また、情報伝達率の低さを考えると、議論に必要な情報の事前共有も不可⽋なのです。

3、グランドルールの設定に夫を凝らす

グランドルールを設定することは対⾯の会議でも極めて有効だが、ZOOM会議でも、もちろんグランドルールを設定することが必要です。

例えば、「ビデオはオンにして表情が⾒えるようにする(誰が発⾔しているかが⼀⽬瞭然にわかるようにするため)」「誰かが話している間は⾃分はミュートにしておく(余計な⾳が⼊らないようにするため)」といったものから、「問いかけには必ずチャットで反応する」「この会議は出⼊り⾃由」といったものまで、会議の⽬的や⼈数に合わせたルールを設けることで、会議運営を円滑にする⼯夫ができます。

4、議論の「入れ物」(アウトプットのフレームイメージ)を予め意する

⾔葉だけのコミュニケーションには限界があります。議論内容を整理し「⾒える化」することは、ファシリテーターにとって⽋かせない役割です。

この作業は、対⾯の会議ではホワイトボード上で⾏うことが多い。ZOOM会議などでは、ツールにホワイトボードが⽤意できますが、論点等の整理をその場で⾏う難しさは、対⾯の会議以上になります。

討議のアウトプットのフレームイメージを事前に⽤意し、議論の「入れ物」を作って皆が的に向かって話すように準備しておく必要があります。

5、要約(積極的傾聴)のスキルを効果的に使う

発⾔内容がわかりにくいときに、要約して他のメンバーの共通理解を促すのは、ファシリテーターの最も重要な役割です。発⾔者に背景や意図を問うて確認するのも効果的です。チャット画⾯に、発⾔者⾃⾝に要約して書いてもらうのも⼿でしょう。

また、メンバーの表情やしぐさが⾒えにくく、誰が何を考えているのかを察しにくい遠隔会議では、反応がわからないまま話が進んでいくことが少なくない。

議論を途中で⽌めて、そこまでの話を要約して、理解を確認しながら合意形成していくことが、ことの他重要です。「いいね」ボタンを活⽤したり、チャット画⾯に OK だけ⼊れてもらうなどして、コンセンサスがとれていることを確認しながら前に進めていくのがよいだろう。

       この続きは2020年 9月15日号になります。

 

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