JPAニュース2021年1月15日号
リモートワーク時代のリーダーシップ
リーダーシップ発揮のキーワードは心理的安全性です

高野 文夫 NPO日本プレゼンテーション協会理事長

急にリモートワークする部下を持つようになったリーダーの皆さんの中には、不安や⼾惑い、焦りが募っている⼈も多いと思います。

「部下はちゃんと働いているのだろうか?」

「指示待ち族だから、何もしないでボーっと過ごしているのでは?」

「⼀⼈ひとりの仕事をどのように管理すればよいのだろうか?」

「各メンバーの⾯倒をどのくらいみて、モチベーションをどうやって保てばよいのだろうか?」

など悩みはつきないと思います。

⼀⽅、部下の側もまた不安や⼾惑いを感じているはずです。

まずは、この不安や⼾惑いを取り除くことが、リーダーの重要な責務です。

ここでキーワードのひとつとなるのが「⼼理的安全性(Psychological Safety)」です。近年、職場におけるチームの研究を⾏ってきた Google が、データ分析の末にたどり着いた、リーダーに求める唯⼀無⼆の概念として、世間の注⽬を集めました。

「⼼理的安全性」とは、「チームのメンバーが、安⼼して対⼈的なリスクを取れるという、暗黙の共通認識をもっている状態」とされています。

他者の反応におびえたり羞恥⼼を感じたりすることなく、⾃然体の⾃分をさらけ出すことのできる環境や雰囲気からもたらされる⼼理状態です。

では、リモートワークが始まったばかりのメンバー達の不安や⼾惑いを取り除き、⼼理的安全性を⾼めながら、効果的なリーダーシップを発揮するためにはどうしたら良いのでしょうか。それには、次の3つのことに留意する

ことが、とりわけ重要と考えます。

 少ない接点でのポジティブなコミュニケーションを意識する

リーダーは、通常どんな時にリモートワークを⾏うメンバーに連絡を取っているでしょうか。接点が少ないからといって、たわいもない世間話をするためだけにわざわざ連絡する⼈はいないでしょう。問題が⽣じた時をはじめとして、「何かあった」ときに連絡する⼈がほとんどではないでしょうか。

これはもちろん、対⾯での業務活動でも同じだったはずで、その頃から特別何か変えたつもりはないだろう。

しかし、対⾯で業務活動を⾏っていた時は、⽇頃顔を合わせる中で、メンバーをねぎらったり、⿎舞したり、結果的にモチベーションを⾼めたりすることができる機会は多かったはずです。

意識するとしないに関わらず、戒める、褒める、叱咤と激励、ネガティブとポジティブのバランスを取ることができているという⼈は少なくありません。

⼀⽅、そうした⽇常的なコミュニケーション機会のないリモートワークの状態では、下⼿をすればネガティブな情報にコミュニケーションが偏ってしまいがちです。それではメンバーは委縮してしまうでしょう。

離れた場所で孤独も増す中で、不安も⼾惑いもむしろ倍加してしまいます。

そうならないように、リーダーは、少なくなった接点だからこそ、意識的にポジティブな⾔葉を投げかけて、メンバーのモチベーションを維持することがこれまで以上に⼤切です。

デジタル空間での参画しやすい環境づくりを進めるリーダーは、デジタル空間ならではの参画しやすい環境づくりにも努めなければなりません。

デジタル空間ならではの環境づくりというのは、例えば、情報発信のハードルを下げることです。SNS上では今、必ずしも⽂章が書けなくても、コミュニケーションが活発になされています。

写真や動画だけで投稿もできる、ツイートやシェアだけで情報を発信できる、「いいね」ボタンを押すだけで参画できるなど、意思表⽰と情報発信のハードルが下がり、どんどん気軽になっています。

デジタル空間でも、⼗分に「雑談」が⾏われていると⾔えましょう。しかし、企業組織の中では、いまだにテキストによるきちんとしたコミュニケーションが主流です。だから、バーチャルな環境では情報発信側に回れない⼈も出てくるのです。

雑談やブレストの時間にきちんとした⾔語能⼒が求められると、チャットの流れに乗れないこともあります。デジタルツールで言語証拠が残ることも、メリットばかりではないと言えます。共有したいけれど、⾃信が持てないので残したくはないという話を聞くこともあるのです。

リーダーは、そのような状況に対処しつつ、⼼理的安全性のある場を作り、円滑で開かれたコミュニケーションに気を配る必要があります。

⼀定時間で投稿が消える機能なども使いながら、雑談をサポートし、好き勝⼿⾔い合える場を作る⼯夫も求められるのです。

それでは、2021年2月15日号にてお会いしましょう。

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