プレゼン最前線2025年11月15日号


プレゼン最前線2025年11月15日号

NPO日本プレゼンテーション協会理事長高野文夫

 私は毎月2冊のペースで本を出版しています。10月には

No.235&236冊目の本が出版されました。

 紙の本と電子本で出しましたが、ご興味をお持ちの方は

紙の本は、値段が1,500円もして恐縮ですので、300円の電子本でお読みくだされば幸いです。

 整理番号236冊目の本

共感力の時代

共感力の時代: AIと理性の時代の次は感性と人間力勝負の時代になる Kindle版

高野文夫 (著)  形式: Kindle版

Amazon.co.jp: 共感力の時代: AIと理性の時代の次は感性と人間力勝負の時代になる eBook : 高野文夫: 本

 整理番号235冊目の本

共感力の時代

共感力の時代: AIと理性の時代の次は感性と人間力勝負の時代になる ペーパーバック – 2025/10/26

高野文夫 (著)

共感力の時代: AIと理性の時代の次は感性と人間力勝負の時代になる | 高野文夫 |本 | 通販 | Amazon

  我々人類の産業の形態は3つの波を経てきました。アルビン・トフラー博士は、それを三段階の波で表現しました。

  すなわち第一の波は農業革命で、それから第二の波として工業に、工業から第三の情報産業に時代が移り変わってきました。

  それでは今の第三の情報の時代からどう変わってゆくのでしょう?私は第四の波は、感性力をベースにした共感力の時代への移行だと思っています。

  共感の時代ってどんな時代でしょうか? それはイマジネーションだと思うのです。「こういうものを作りたい」と想像するとそれはまさに「創造」につながるのです。

  そして、創造だけでは駄目で、もう一つ重要な要素として「情熱」が必要だと思うのです。「創造と情熱」以外は人間でなくてもOK なんですよね、そうITやロボットにやらせればいいのです。

  これからの時代は、単純労働や、過去の経験則の組み合わせで出来るものはすべてロボット任せられるのです。となると・・、単純労働しかできない人の住処はなくなってしまうのでしょうか?

  そうは思えませんね、草取りとか、果樹の摘み取りとか、Mac等のカウンターレディーや受付パーソンのような仕事は存在し続けるでしょう。しかし、その賃金は法律に触れない程度の最低限のものになるでしょう。

  というのは、後進国から最低限賃金でもどうか使って下さいという労働力は益々流れ込んでくるでしょうから。

  毎月講演会場として使わせて頂いてる、二重橋前の「東京商工会議所」の警備は警備ロボットがやっています。ホンダのアシモのようなロボットが、勝手にエレベーターを使って全館の警備にぐるぐる廻っていて、やたらな人間警備員より優秀だというのです。

  そしてこれからの新しい第四の波の時代のリーダーシップも大きく変わってゆくでしょう。

 基本的に今までの様に真面目にトップダウン式の指揮を執っていたのでは、それも伝達ロボットの様な優秀な機械に代行させられることになるでしょう。

  ロボットには不可能な、人間らしい生き方としての哲学を持ったリーダーじゃないと人がついてこないという事です。すなわち、マイ・フィロソフィーを持った人でなくてはリーダーとして務まらなくなるのです。

  人間にとって最高の哲学は、「このためなら命を懸けられる、この人に賭けてみよう」という、たとえ心中して良いという心情になれかどうかです。リーダーは、「このためなら、俺は死ねるぜ!」というものを部下に見せなければならない。

  そういった信念を持ったリーダーに部下がついてくるのです。

  最も重要なポイントは人間らしく生きる事であり、「その為に生き、その為に死することができる」という信念が問われるのです。

  ロボットには命を懸けるとか、信念というものは考えられない。それは人間しかできない「感性に支えられた共感」から生まれてくるものだからです。

  理屈ではなく、共感が人を動かすのです。嘗ての様にトップダウンで全員が整列する時代はもはや来ないでしょう。これからは共感で動く、自律分散型社会なのです。

  嘗てのような一人のカリスマ的リーダーが組織全体を動かす時代ではなくなるのです。ましてや、IT(インフォメーションテクノロジー)やロボット社会に移行してしまえば、益々この傾向は高まるでしょう。

  複雑系の研究で明らかにしてきたように、複雑なアリ塚は女王アリが指令を下してできているものではない。女王アリはひたすら子供産むだけ。

 働きアリは一生懸命食料を運ぶだけ、戦闘アリはひたすら戦闘に備えて準備するのです。

  しかも二本の触角とお尻から出る少量のホルモンだけがアリのコミュニケーション手段なので、それでいてそれぞれの営みが、全体として極めて機能的なアリ塚を構成しているのです。

  こうした個々の小さな行動の総和が、想像を超えたパワーや結果を生むことを「創発;エマージンス」という。この「創発」というアクションで、大きなバックアップとしての要素が、私は「感性に支えられた共感力」があると思うのです。

  「共感力」はまだまだ未知の領域ですが、これから益々重要性を深めてゆくでしょう。

  自由や民主化というビジョンに向けた個々人の小さな行動が、You Tubeやツイッターやフェイスブックを使って増幅され、打倒不可能とされた体制を崩壊させつつあるのです。まさに共感力の成果です。

  これこそが「感性に支えられた共感市民革命」と呼べるものかもしれない。

  人の行動や意思決定には、ロジックだけでは計り知れないものがあります。物事の決断は、ロジックをつかさどる左脳(IQ脳)ではなく、感性脳である右脳(EQ 脳)でなされているのではないだろうか?

  人は好き嫌いで物事を判断し、ロジカルにではなくむしろ感性や共感に基づいて行動を起こしているということです。私は理性や共感力のベースには感性があると思います。

  もともと理性や共感力は感性が持っている一部の能力が進化して出てきた部分だと思うのです。感性は、調和性・合理性・統一性などの要素に分けられると思います。

  この中の合理性が知性になって、知性から理性が出てきた、そういう流れて進化してきたと思うのです。

  これは飛躍したとらえ方だとご批判を受けるのを覚悟で申し上げます。もともと理性は感性の中にあったというとらえ方です。だから感性に優れた人でないと、理性も共感力も大したレベルに達しないという事です。

  そして理性の成果物がロボットやIT機器だとしたら、それらには感性が無いのだから、ロボットやIT機器のやることには限界があるという事です。あくまでも人間の効率を補完するものにすぎないのです。

  すなわち、理性だけを原理にするなら、あらゆるものが理性的に、合理的にゆがめられてしまうでしょう。本来3つの力が統合されたものが宇宙であり人間だと思うのです。 

  その理性的に合理的にゆがめられた結果として起こったのが、人間性の破壊だと思うのです。理性や知性は、感性や共感力に支えられてこそ値打ちがあるのに、現代はそれが逆転してしまっている、だからその逆転を元の健常なあるべき姿に戻さなければならないのです。

  そのことをしっかり考えて今後のロボットやIT技術の開発を進めてゆかないと、ロボットやITマシーンが独り歩きして、しまいには人間が攻撃される心配さえあるのです。人間がロボットに滅ばされる可能性だって否めないのです。

  感性力は共感力を含めて、宇宙から人間に与えられた人間の命を活かす力だと思っています。

  これからの時代は、第四の波として、我々人間の一番大切で基本的な能力である、感性力や共感力陶冶の時代に入ったと思う。

  三次元ではなく四次元のインスピレーション勝負の時代ともいえましょう。なぜならば、感性力や共感力は4次元世界からのバックアップなしには存在しえない様な気がするからです。

  それではどのようにしてそのような力を陶冶したら良いのでしょう?感性やその一部とも言える共感力は、喜怒哀楽を味わい尽くすことによって生まれてくるものだと思うのです。

  それによって初めて他人の苦しみを我が苦しみとして感じ、他人の喜びを我が喜びとして感じ取ることができる。

  そういう感性の共振作用は、喜怒哀楽を味わい尽くすことによって育つと思うのです。すなわち、共感同苦、共感同悲、共感同喜ができるようになるのです。

 次回は2025年12月15日号でお会いしましょう。

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