プレゼン最前線2022年1月号
日本プレゼンテーション協会 理事長 高野文夫

2022年1月15日

NPO 日本プレゼンテーション協会理事長

今月1月は共感力特集です(その2)

高野理事長の2022年1月の新刊です。

  1. SNSに頼り過ぎるのは危険、対面コミュニケーションが一番大切

 今やインターネットが最盛期になっています。

IT技術が進捗するのは好ましい事なのですが、一方その技術に頼りすぎて、人と人との対面コミュニケーション力が弱まっています。

 皆さんもメールやFacebookをやられている人は多いと思いますが、私はあのようなツールは、表面的な目的の裏腹に、コミュニケーションに難のある人を増産しているように思います。

それは対面で語らなくても交信ができてしまうツールだからです。

 職場でも面と向かって言えない人が、ひそかにメールでレターを送り交渉や伝達をしようとします。

例えば、「今日は早退させて頂きたい」と近くにいる上司に口頭で言えば良いのに、黙ってメールだけ送って帰ってしまうのです。

 人と人のコミュニケーションは70%位が、言葉ではなくボディーランゲージで行われていると説く説もあるくらいで、

いかに目と目を合わせて口頭で行われる対人コミュニケーションが大切かという事です。

 そして問題なのは、対面コミュニケーションの欠落で、心と心のつながりがますます薄くなってゆき、往々にしてある上限を超えてしまい、もはや修復ができない様な域に入ってしまう事です。

 そうなった場合、本人の意思を確かめもせずに、上司はそのような部下を自分を嫌って避けているとか、能力のない人だとか、やる気のない人と勝手に判断してリストラの対象者に入れてしまったりするのです。

 そのような対象になってしまった人が、たとえコミュニケーションには難があったとしても、与えられた仕事の能力は、他の人に代え難い高いレベルだったりするのです。

すなわち、貴重な人財を失う危険性をはらんでいます。すなわち、対面コミュニケーションの欠如は、組織全体の戦力を弱めてしまっているのです。

2、本音で接する度胸も大切ですが、その前に環境作りが最も大切

 私はプレゼンにしても、営業活動にしても、あらゆる対人コミュニケーションで最も重要なのは度胸だと思っています。本音で語れる度胸です。

 本音でぶつかれば、相手も本音で返すことになりますから、物事が建設的に前に進むことになります。

表象的な交信しかできないなら問題も明るみに出ず、本質的な議論が後回しになってしまいます。

 それでは、本音を言える度胸をどのように涵養できるでしょうか? それは、互いに信じられる環境があるかどうかという事になるでしょう。

 個人のくそ度胸では限度があるのです、何事もシステム化する必要があるのです。

私は個人の度胸云々を言う前に「なんでも言える職場環境をつくれ!」とファシリテーションの技術の普及を勧めてかれこれ25年が経ちました。

(ファシリテーションとは、なんでも言える安全な場と空気を作るコミュニケーション技術です。)

テキスト

自動的に生成された説明

特に会社の会議には、ガード下の焼き鳥屋の「場と空気」が必要でなのです。

ガード下の焼き鳥屋では何故あのように屈託なく思いのたけを喋れるのでしょうか?

それは、そこには安心して思いのたけを喋れる場と空気が醸成されているからです。

互いの信頼関係のみならずお互いを共振させる何かがあるのです。

その何かがファシリテーションの技術でもあります。

会社の昼間の会議で焼き鳥屋にある「場と空気」を創り出すのがファシリテーターの役目です。

会議の参加者が、皆でジュージューと油のたれる焼き鳥と真っ赤な炭を囲むように、その温かみのある場の空気を読みながら、でしゃばるわけでもなく、

かといってしり込みをせずに、それぞれの思いや提案を存分に出し合って重要な議案を決議してゆく、それがファシリテーター型会議なのです。

3、SNS &ロボティック社会には、

ファシリテーション力が必須

企業人は日々厳しい生存競争に晒されています。

勝ち残りの為の戦略立案と実行段階では、屈託なくお互いが思いのたけをぶつけ合い、お互いのベクトルを調整し合う必要があります。

時には健全なる口論や喧嘩も必要です。但し、清々しいルールのある喧嘩です。ファシリテーターは大相撲の行司役になって闘いを煽ります。ぶつかり合いがなければ本物は生まれません。

会社が持つベクトル(方針)と個人が持つベクトル(目標ややる気)を頻繁に調整し仲間との振動数を合わせ共振させるのです。

その調整役がファシリテーター型リーダーであり、それを助ける技術がファシリテーションのスキルです。

それではこの続きは、

2022年2月15日号にてお話します。

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