JPAニュース2022年2月号
日本プレゼンテーション協会 理事長 高野文夫
2022年2月15日
高野 文夫 NPO日本プレゼンテーション協会理事長
新刊「脳科学に基づいた教え方のコツ」の要旨
1、はじめに
私は企業内研修講師として、また大学の講師としては、コミュニケーションを12年以上教えきましたが、大学の先生を筆頭に、小中高等の学校の先生が、上手な教え方を教わっていないことに驚いています。
物を上手に教えるには基本的な型があると思うのです。ところが、日本の学校の先生方は、それを習わずに、同僚や先輩先生のやり方を見よう見まねで学んでいるのです。
見るどころか、大学を卒業してそのまま先生になってしまうと「教え方を教えてもらう」機会を持たずに即教壇に立つことになります。それは実におかしなことです。
2、伝統空手ではまず型の習得から始まります
私は50年以上伝統空手を稽古して来ましたが、空手には20以上の基本の型があって、その20の型をほぼ身に付けた段階で、黒帯すなわち初段になれるのです。大概の人は初段を取るまでに2年位かかります。
基本の20の型を一応こなせるようになった段階で、相手を立てての攻防の稽古がスムーズにできるようになるのです。その攻防を組手と呼びます。組手には、約束組手と自由組手があります。
日本の学校の先生方は、型の修練なしに一気に自由組手に入ってしまうようなものと言えましょう。
自由組手とは、自由に技を出してよいのです。ボクシングのようなものですが・・、空手の場合なら、型の習得無しにそれをやったらグチャグチャな稽古になってしまうでしょう。スタートからストリートファイト(町での喧嘩)をやる様なものです。
3、池上彰氏や林先生やハーバード大のサンデル教授
さて、全員が全員ではありませんが、大学を出て即『先生』という職業に就くと、世の中から先生、先生と呼ばれて、いわば尊敬される特権階級の存在になるのです。
だからダメなんです! もまれて、もまれて、切磋琢磨して、血を吐くような苦労をして、独自の教える手法をゲットしているとは到底思えないのです。
テレビで、池上彰さんや予備校の先生上がりの林先生がたいへん注目されていますが、彼らお二人の教え方が飛びぬけて上手なのです。それは沢山の社会経験が、教える上で活きているからです。
この本で言いたいことそれは、あのお二人の様に教えれば良いという事です。
そして、願わくば「ハーバードの驚異の授業」のサンデル教授のような教え方ができるようになってほしいと思います。
それは正にファシリテーションスタイルの教授法ですが、この本でどのような教授法かを取り上げています。
すなわち、私はこの本で、池上さんや林さんやサンデル教授の教え方のノウハウをお教えしたいと思っています。
私はNPO日本プレゼンテーション協会の理事長として、また国立大学などの『産業コミュニケーション講座』の特任講師として、主にファシリテーション、プレゼンテーション、ネゴシエーションの3つのセミナーでお教えして来ました。
4、「脳科学に基づいた教え方のコツ」をお伝えしたい
ところで、2020年から高校や大学の入試にプレゼンテーションが取り入れられそうになりましたが、残念ながら途中で握りつぶされた様です。
話しを戻しますが、少中学校や高校や大学の先生がプレゼンテーションを教える訓練を受けていません。
だから、学校の先生にプレゼンテーションの基本スキルを注入し、生徒や学生に上手に教えられるように、教える技術を学ぶ必要があるのです。
学校の先生のみならず、すべてのサラリーマン活動においても、毎日の社会生活でも『教える技術』は必須のスキルですから、
多くのサラリーマンやすべての人がこの本を読まれて教える事の基本原理を
マスターして下さることを心からお勧めするものです。
それでは、2022年3月15日号にて再びお会いしましょう。