プレゼン最前線2023年4月15日号
NPO日本プレゼンテーション協会理事長 高野文夫
「こころ」をつかんで稼げ!: 伊豆大島のリス採り名人が、都会の人間の心を奪う極意を伝授 | 高野文夫 |本 | 通販 | Amazon
この本の主旨
共感が人を動かします。世の中には、私の肝臓を使ってくれ、私の腎臓を捧げても良いという人がいます。
随分前のお話ですが、JR新大久保で線路に落ちた人を救うべく助けに入り、無念ながら、自らの命を捧げた神のような韓国人がいました。
75年前の大東亜戦争末期、私の妹を、父母をそしてこの美しい日本を守る為にと、
ゼロ戦や人間魚雷に乗って特攻して逝った多くの若者がいました。これらは、損得の次元を超えた共感のなせる業です。
飛び立つ前に撮った彼らの最期の写真を見るごとに感無量になります。
しかし、なぜか彼等の顔は悲壮感というより明るく笑っているのです。
人の行動や意思決定には、ロジックだけでは計り知れないものがあります。
物事の決断は、ロジックをつかさどる左脳(IQ脳)ではなく、感性脳である右脳(EQ脳)でなされているのではないだろうか?
これは実話なのですが、ある優秀な人が、申し分のない企画案を3つ提出したそうです。
3案とも優劣つけがたいので、貴方のお勧めは何番かと企画案作成者に判断を求めたところ、判断ができないという。
つまり、その人には、3つとも同じに見えるのだそうです。
実は、その人はある病気で脳の一部を欠損し、右脳の働きがすこぶる劣っていたのです。
人は最終の判断を感性脳である右脳でしているという証拠です。
人は好き嫌いで物事を判断し、ロジカルにではなくむしろ感性や共感に基づいて行動を起こしているということです。
ですから、リーダーたるものは、部下や周りのものを動かそうとおもったら、相手の感性に訴え共感させなければ駄目だということです。
私は、リーダーが持つべき能力として、チームの仲間の共感を引き出し、その心を共振させられる感性力が特に大切だと思います。
我が幼少時、伊豆大島という田舎の大自然の中で、金を稼ぐ為に、森を駆け回るリスを必死に追いかけました。
そしてリス捕りの名人といわれました。
リスを捕獲するコツは、ロジカルを超えたリスの気持ちになりきれるかどうかの感性力の勝負でした。
最高のロジックを練り上げて匠の罠(わな)を仕掛けても、リスは一匹たりとも見向きもしません。
リスに真正面から向き合って、共感させ、そして自分から私の仕掛けに入り込んでくれるように仕向けたのです。
それは、自分がリスの心になり、リスが私の心になった、いわゆる自然の中でお互いが一体化した瞬間なのです。
リス捕り等の素朴な体験から学んだ事が、今の都会での生活に驚くほど生きている事に驚愕しています。
そして、家族の絆とはなんだろう、社会で共に生きるとはどういうことなのだろう?
リーダーのリーダたる由縁ってなんだろう? そんな事を読者の貴方と共に考えてみたいのです。
考える鍵は共感です。共感とリーダーシップの関係です。
それでは次号2023年5月15日号でお会いしましょう。
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