JPAニュース2023年7月15日号

NPO日本プレゼンテーション協会理事長 高野文夫

整理番号174冊目の本

武士道日本人のこころ:「武士道の7つの徳目」は現代人の成功則になる! オンデマンド (ペーパーバック) – 2023/7/19

高野文夫 (著)

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(4、武士道の7つの徳目を簡単に説明します。・・本の途中から抜粋)

SevenMoralCodeOfSamurai


① 仁Jin(Love and Sympathy)とは?

侍の時代には、他社への思いやり、寛容、同情、哀れみという意味がありました。

『武士の情け』という言葉があるが、熾烈な戦場の中ですら敵を思いやる気持ちを持ちあわせるのが本当の武士でした。

現代のサラリーマン社会にあっては、人の上に立つ人の条件で、リーダーシップの根幹をなすものです。

徳を持って権力を行使する。

能力に劣るできない部下をも、簡単に切り捨てるのではなく、教育したり、得意な部分を見つけて必要なら適所に移してあげる。

そのような部下にとっては、兄貴や親父に求める様な器が問われる徳目です。

部下は育てなければ育たない。

部下を育成する事は、会社にとっては財産を増やすのと一緒なのですから、会社に尽くしている事になります。

② 義Gi(Truth and Justice)とは?

侍の時代には、例え戦いに勝ったとしても不正な行為をして勝った者は賞賛されなかった。

打算や損得を離れた人としての正しい行い『フェア・プレイの精神』が尊ばれた。

現代のサラリーマン社会にあっては、義とは、正しい決断力の事です。

過去に在り得なかった高視聴率を記録したテレビドラマ『半沢直樹』では、正にこの義をテーマにしていました。

裏取引や不正でのし上って行った会社役員に対して、次長職の半沢直樹が勇気を持って戦う姿に、日本中の視聴者が燃えたのです。

平成の記録破り、40%を超える高視聴率になったのです。

その事は、今でも侍の時代と同じく、不正でのし上る輩には10倍返しの怒りの鉄槌をお見舞いしたくなるのが日本人の心なのです。

義の根幹をなすものは勇(勇気)です。

『義を見てせざるは、勇無きなり』とは、人として行うべき正義と知りながらそれをしないことは、勇気が無いのと同じことである。

周りに賞賛される骨のあるサラリーマンになる為には、義を行使できる勇気や男気(女気もしかり)を身に付ける事である。

③ 礼Rei(Courtesy)とは?

侍の時代には、思いやりの心を目に見える形で、しかも心を込めて表現することが求められました。

現代のサラリーマン社会にあっても、上司にも部下にも、そして仲間にたいしても、うわべだけの挨拶は、慇懃(いんぎん)無礼な作法以外の何物でもないのです。

もちろん率先して挨拶をするのですが、それは人に対する思いやりの心と、実は人というものは敵に回すといかに面倒くさいかを悟っているから出来るのです。

礼は、戦国時代の戦場での合言葉から生まれたものです。

『合言葉』をし忘れたり、間違って言ってしまえば、その場で命を落としかねなかったのです。

生死のぎりぎりの場から生まれた作法が挨拶なのです。

そして礼は、コミュンケーションの基本です。

たとえ正しい事でも、取り手の気分を害するような事は言わない。

そして、相手が間違っていても、時には見て見ぬ振りをしてあげる、そのような惻隠の情があれば、部下や上司や大衆の心を掴むことが出来るのです。

そして一番重要な事なのですが・・、優雅な作法は、自分自身の強い心を涵養するのです。

しっかり礼が出来るようになるという事は、人間がより大きくなってゆくといいう事なのです。

『稔ほど頭を垂れる稲穂かな・・』という言葉が、侍の時代から、もちろん今でも大切にされています。

④ 智Chi(Wisdom)とは?

侍の時代も現代も本質的には全く変わらないのですが・・、物事の本質を正しく見極め、優れた知恵を働かせ、より良い方法を選択する能力が求められました。

現代のサラリーマン社会にあっては、学びの人生を送る人が、会社を成功に導き、ご自身も出世します。

今日よりは明日、明日よりは明後日と日々改善に心掛ける。

日々の活動をルーチンワークの中に埋没させない。

その様なナレッジ・ワーカー(学びが好きなサラリーマン)が個人にそして会社に改善をもたらします。

そしてコミュニケーションの輪を紡ぐことによって、チームワークの成果をゲットし、時には新たな革新(ブレイクスルー)が生まれるのです。

⑤ 信Shin(Faith)とは?

侍の時代には、信とは理屈抜きに心情的に信ずることだった。そして、信じられたらその信頼に応えなければならなかった。

わが国は、欧米の様な契約社会ではなかった。

紙に書かれた契約よりも『口約束』の方が重んじられたのです。

だから一旦口から出した口約束には命がかかっていたのです。

現代のサラリーマン社会では、信とは、嘘を言わないそして約束を守ることです。

信頼関係があれば、人と人の繋がりは、単なる能力の足し算ではなく掛け算になります。

シナジー効果が出て、予想もできないような大きなプロジェクトを成功させることが出来るのです。

⑥ 忠Chu(Loyalty)とは?

侍の時代には、主君に真心から仕えると言う意味がありました。

主君への自発的な忠義心であり、他からの強制で遂行されるものではなかった。

また、夫婦間での忠は、互いの一途な愛でもありました。

しかし古来の武士道が大きく誤解されているのはこの忠という徳目です。

忠とは、ただ単に上の者や社長にかしずき、盲目に従えと言う事ではありません。

気まぐれや不条理の犠牲になるなら、主君を見限り、そして捨てよと言っています。

すなわち、現代のサラリーマン社会にあっては、ただ上司や会社に盲目に忠誠を尽くせという事ではないのです。

無能であったり、コンプライアンスに触れるような不条理を押し付ける上司や会社は見限って転職すれば好いのです。

戦国期の武士は、主人をどれだけ替えても非難されなかったという記録があります。

秀吉が羽柴姓を名乗っていた時、家中の武将が退散して他家へ仕えたいと申し出ると快く受け入れ、翌朝、館(やかた)に呼びつけて、自分で茶をたててもてなした上で言った。

いずれへ参るとも、思わしくなくば、また帰って参れ、いつにても召し抱えてつかわすでや・・』  

他家へ仕えた侍が、居心地が良くないので秀吉のもとに戻ってくると、前言のとおり以前と変わらない扶持を与え、元の様に召し使ったと言うのです。

彼らには、『武士は二君に見(まみ)えず』という委縮した考えはなかったのです。

しかし、一旦部下としての契約を結んだなら、全身全霊を打ち込んで業務にあたったのが戦国の武士だったのです。

⑦ 誠Sei(Promise)とは?

侍の時代にあっては、ひとたび承諾した事には、命懸けでその言葉(約束)を守り、もし言行不一致の場合には、死を持って償ったのです。

誠とは、言+成=言った事を成すという意味です。

正に、この二つの字が誠を形作っているのです。

サラリーマン人生の中で、正直を貫くと損をしたり出世しない事が往往にしてあります。

しかし、長い目で見ると・・、正直は割に合わないどころか『最善の儲け策』と言えるのです。

個人はもとより組織としてもこの事は言えます。

商品表示に合わない、いい加減な商品を消費者に渡せば、遠からずそのようなメーカーからはお客が離れます。

多くの成功している会社の掲げるビジョンを見ると、このことが良く分かります。

誠の心が盛り込まれているビジョンを持っている企業は、何百年も繁盛しています。

誠とは『実益のある徳行』なのです。100年以上もつぶれずに続いている企業が世界一多い国は、正にこの日本だけなのです。

次回は8月15日号でお会いしましょう。

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