JPAニュース2023年10月15日号

JPAニュース2023年10月15日号

NPO日本プレゼンテーション協会理事長 高野文夫

人間バッテリー理論(続きの2)

今の大学や学校ランキングもいわばアルカリ電池で説明できます。

 東大や早慶大のような超一流大学とその他の普通の大学や二流大学との違いって一体何でしょうか? 

 かつての旧帝大時代や、旧制高校があった頃、一流大学を出たような人は、頭が良いのみならず人物的にも絶賛されるような人が多かったと言います。

 生まれつきの地頭の良さのみならず、人の上に立つ素養のある、人間としての器の大きい人たちが育っていたのです。

 ところが戦後80年の間、偏差値重視の教育に切り替わり、人間教育は全く対象外になり、大脳皮質(暗記する器官)の発達した暗記力勝負の教育になってしまいました。

 今や一流大学に入る為には、受験教科の傾向と対策にのっとった要領一本の勉強をすれば良いのです。受験で試験対象にならない勉強は全く意味をなさなくなっているのです。

 私は、実はそちらの学問の方が、本当の人生に役立ち、大物作りの肥料になると思っています。

 私は都内にある国立大学のコミュ二ケーションの講師をしていますが、出身大学の学科の同窓会の会長もお引き受けしています。そんな関係上、大学生との交流が頻繁にあります。

 都内にあると言う地の利が影響してか、私の出た大学は今大変偏差値が高くなり、入るのにとても難しくなっています。

 ちなみに、予備校の河合塾の2015年度の国公立大学の偏差値リストを見ると驚きます。

 かつては入り易い大学だった、国立大学法人東京農工大学の農学部の偏差値ランキングが国内第4位、工学部が第6位なのです。獣医学部に至っては東大に次ぐ第二位なのです。

 それでは、我が出身大学の在校生の人格を含めたトータル人間力が嘗ての学生より上がっていると言えましょうか? 私は決してそうは思えないのです。

 今の学生は、以前の学生に比べて、頭は良いかもしれませんが、対人折衝力等のコミュニケーション力やリーダーシップには却って難があると思います。

 それでは偏差値のアップで何が変わったのでしょうか?

 私は、電池で言う、単二だった容量と瞬発力(パワー)が単一に上がっただけだと思うのです。

 より厳しい高い偏差値の大学に入るがための、やりたい事を殺して集中して受験勉強に打ち込めた自己統制能力だと思います。どれ位我慢できるかの我慢大会での努力の違いなのです。

 いわば、馬鹿テレビ番組でやっている「大食い競争や早食い競争」と似ているかもしれない。英語で合格点を出すためには、素早く多くくの単語を喰いまくれば良いのです。

 私は、本音では学問は人間ツクリであるべきだと思っています。

 暗記力を旨とする大脳皮質だけを相手にした学校教育だけではこの国は亡びると思います。

 なぜならば、個性を持った斬新的な発想ができる次世代リーダーを造れないからです。他よりちょっとましな単一の電池養成所であってはいけないと思う。

 95%の暗記人間ではなく、5%の思考人間でなければ、真のリーダーにはなれないからです。その他大勢ではダメなんです。

 世界のGlobalな競争に勝ち抜ける、器の大きい人間、そして、ニューアイデアマンの育成が国や世の中の発展の如何を握っていると思います。

 本来の教育は、マイクロソフトの創業者のビル・ゲイツ氏やアップル社のスティーブ・ジョブズ氏やソフトバンクの孫正義、

 国内で言えばパナソニックの創業者の松下幸之助氏や本田技研の創業者の本田宗一郎氏のようなスケールの大きいリーダーを作ることだと思います。

 正に馬鹿でかい、ダイナモ人間を作ることだと思っています。

 今こそ、その人の志や人間力を同時に涵養する教育に振り子を戻すべき、すなわち、昔の旧制高校や帝大時代の教育に戻すべきだと思います。

次回は2023年11月号でお会い

しましょう。

2023年9月に出版された私の182冊目の本です。

5%の人になれ!(アルカリ電池編): ChatGPT&ITロボットの時代は、95%が奴隷層に入れられ徹底管理下に置かれる。

高野文夫  | 2023/9/9

次回は2023年11月号でお会い

しましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です