JPAニュース2021年4月15日号
知情意について
高野文夫 日本プレゼンテーション協会理事長

2021年4月15日

高野 文夫 NPO日本プレゼンテーション協会理事長

知情意について

皆さんは知情意という言葉をご存知でしょうか?これは、

哲学者カントが唱えた人間の精神の働き方です。

歴史に名を遺した偉人、夏目漱石氏・松下幸之助氏・渋沢栄一氏など

をはじめとする方々がみな「知情意」の重要性を説いています。

知情意の何たるかを知り、そのコントロールの仕方を学ぶことで、

人間として成長し、ビジネスで成功する糧にできるのです。

実は、私たち人間の心の中には「知性」「感情」「意思」の3つの働きが

あると言われています。

その3つがそれぞれバランスを保ち向上させることによって、

人格形成や人間性を高められるのです。

この3つそれぞれバランスを保ち、向上させることによって

人格形成や人間性を高めることに繋がるという事です。

 人間性を高めるには、頭でっかちでもダメで、

感情に振り回されてもダメ、善悪を見分け、物事を多角的に

とらえて行動を律するのです。

それではそれら3つをもう少し深く説明します。

知とは、頭を使う事です。

理解力とか、分析力や論理的に考える能力と言えましょう。

知は本や学問などから学ぶことが出来ますが、

経験を通して学ぶことで一番血肉化するでしょう。

そして、学んだことをアウトプットすることで体得できるのです。

強い意志や優しさを兼ね備えていても知がなければ

誰かに騙されることもあるでしょうし、

感情と意思だけで動くことになりますから、

成功に近づくことが出来ません。

騙されないためにそして強く生き抜くために知が大切です。

ビジネスにおいて知は、売り上げを上げるために必要なこと

は言うまでもありませんが、

仕事上何が悪で何が善なのか、何がプラスで何がマイナスなのか

を知ることが出来るのです。

次に情についてお話ししましょう。

情とは優しさなどの感情です。

美しいものを美しいと感じる感性でもあります。

そして、情は物事を円満にします。

情がなければ他人と共感を得ることが出来ません。

知だけある場合は、善悪が分かっても自分さえよければ良い

と悪の道に進んでしまいます。

今特に問題になっている、環境破壊など自分たちさえよければ

良いとする考えになってしまうのです。

知と情があって初めて、正しい心で正しい行いをすることが

出来るのです。

情を高めるためには、自分の心の動きを理解し、

コントロールすることが大切です。

感情というものは時には暴走することがあります。

突然恋に陥ったり、怒りや悲しみや恐怖に襲われて冷静さを

失うことだってあるでしょう。

今までの歴史を見て観れば分かりますが、

人は恐怖によって誤った選択をし

不要な争いや戦いをしてしまった例は多々あります。

「情に竿させば、流される」というのは夏目漱石の有名な言葉です。

最期は、3番目の意についてです。

意とは、意思でもあります。生きてゆく上では辛いことや

大変なことがたくさんあります。

江戸を開いた将軍徳川家康は、

人生は谷あり山あり、苦難の連続であると言い残しています。

どんなときにも、強い意志があれば乗り越えることが出来ます。

情のコントロールは、心の動きを理解することで可能だと

お話しましたが、意思でも可能です。

仕事において、提案する人と、提案する内容は分けて考える

ことが良いと言われています。

感情に任せて良い提案を潰してしまう危険があるからです。

どんなに嫌いな人からの提案でも、

冷静な心で見る為には強い意志が必要なのです。

人はうまくなりたい、儲けたい、成果を上げたいという

意思があるから努力ができるのです。

しかし意思だけではダメなのです。

どんなに強い意志があっても、知や情がなければ独りよがり

になってしまいます。

中には意志だけで成功する人もいますが、

それはたまたまであって運がついていただけなのです。

ここまで、知情意について説明して来ましたが、

何よりも大切なことは、この3つがともに向上してゆくことが

重要なのです。

物事がうまくゆかないのはこの3つの中のどれかが

欠けているからです。

要は、

①しっかり知を集めましたか? 

②感情に流されていませんか? 

③絶対にやり遂げるんだという意思は確かか?

 この3面から自分を問いただしてみることです。

それでは、2021年5月15日号にてお会いしましょう。

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